天龍寺青磁端反鉢
この鉢は、径が15cmほどと小振りで、懐石はもちろん、昨今では正客用の菓子器としてお使いになるのもよろしいかと存じます。
この青磁は、いわゆる「天龍寺青磁」と呼ばれるもので、中国浙江省龍泉窯でつくられた青磁の日本での呼称で、南宋時代から元代に龍泉窯でつくられたもののなかで、釉色が黄緑色の沈んだ調子のものをとくに天竜寺手と呼んできました。呼称の所以は、これらの青磁が、室町幕府が明との勘合貿易により、天龍寺造営のために派遣した貿易船によりもたらされた事によりつけられたからとも、夢窓国師が請来して天龍寺に伝えた浮牡丹が高名だったから、とも言われています。