藤原俊成 筆 昭和切  森川如春庵 箱

昭和切は、 古今和歌集の断簡で、 もとは上下二冊の綴葉装の冊子本。   藤原俊成が70代半ば頃の筆と言われています。   「昭和切」という名は、昭和3年に上巻が分割され、  その年号により付けられました。箱書は、 愛知県を代表する数寄者のひとりである、森川如春庵(勘一郎)です。  如春庵は、優れた審美眼の持ち主で、親子ほど歳の離れた益田鈍翁とも交友がありました。この古今和歌集が分割された当時、如春庵は数丁分を所持していた様で、 名古屋市博物館で行われた「茶人のまなざし・森川如春庵の世界」展に出展された昭和切と同様の箱書がされています。
この一葉は、古今和歌集・巻第一 春歌上の紀友則と紀貫之の和歌が書かれています。
 

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      さくらの花のもとにてとしのおい   
      ぬることをなけきてよめる
           きのとものり
   いろもかもおなしむかしのさくらめと
   としふる人そあらたまりける
      をれるさくらをよめる
           つらゆき
   たれしかもとめてをりつるはるかすみ
   たちかくすらむやまのさくらを